エレベーターのボタンと階数表示のデザインについで
私たちは日常生活の中で、無意識のうちに多くの情報を受け取っています。普段何気なく利用しているエレベーターのボタンの位置や構造も、その一つです。
よく観察してみると、日本のエレベーターのボタンは、ほとんどの場合ドアの右側に設置されており、「開」と「閉」のボタンは階数ボタンの下に配置されています。さらに、階数ボタンは一般的に、下の階から上の階へと、下から上に向かって並んでいます。これらは、誰もが直感的に使えるように設計された、情報の階層構造と言えるでしょう。
しかし、細かい部分に目を向けると、実は統一されていない点も多く見られます。たとえば、「開」ボタンは左、「閉」ボタンは右にあると多くの人が思っていますが、逆に配置されている場合もあります。また、階数ボタンの並び方も一貫していないことがあります。1階の隣が2階ではなく、6階になっているようなエレベーターも存在します。そのため、毎回乗るたびに行きたい階のボタンを探さなければならないこともあります。特に階数の多いビルでは、より探しにくくなります。
一方で、利用者に優しい設計がされたエレベーターもあります。あるエレベーターでは、「開」と「閉」の漢字の代わりに、「◀|▶」や「▶|◀」といったアイコンが表示されており、その下に「ひらく」「しまる」と平仮名で書かれています。これなら、日本人だけでなく外国人にとっても分かりやすいでしょう。さらに親切なデザインとしては、色を使う例もあります。たとえば、「◀|▶ひらく」のボタンを緑色で表示することで、より直感的に理解しやすくなっています。
このように、エレベーターという身近な存在にも、情報の整理や伝え方の工夫がたくさん詰まっています。私たちが普段何気なく使っているものの中には、誰かの「わかりやすくしたい」という思いや配慮が込められているのです。情報をどう見せるか、どう伝えるかという視点で日常を見つめ直すと、きっと新しい発見があるはずです。
参考文献:
- https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=58964?site=nli
- https://tsunagaru-design.jp/archives/552
0コメント